- フィリピンに移住したい、でも医療のことが分からない
- 医療事情や医療保険のことを知りたい
- ちゃんと医療を受けることができるのかな?
フィリピン移住を考え始めたら、かなり気になるポイントですよね。
私は、フィリピンのセブ島にある語学学校で、常駐の看護師さんと一緒に仕事をしていました。
具合の悪い生徒さんの対応や、感染症など重症者に同行して病院対応を毎日のようにしていた時期があります。
本記事では以下の内容について知ることができます。
- フィリピンの医療事情とレベルについて
- フィリピンの医療システムについて
- フィリピンの医療費について
- 現地で医療を受けるときの流れ
- フィリピンの医療保険について
外務省やJETRO(貿易機関)から出されている内容も参考にしています。
盛り沢山の内容となりますが、日本との違いを交えながら、なるべく分かりやすく解説していきます。
お読みいただくことで、いざ病気や怪我をしたときの対応がイメージができます。
移住前のハンドブックとして活用ください。
フィリピンの医療事情とレベル
フィリピンの医療レベルは、地域や病院によって大きな差があります。
しかし、留学先や移住先として人気の高いセブ島や、首都マニラでは、先進国と同等レベルの高い医療水準です。
フィリピンは、英語が公用語として使われています。そのため、アメリカの最新のノウハウをダイレクトかつスピーディーに受けいれることができるのです。
一方、地方の病院では、質や衛生面など、我々日本人にとってはやや不安があります。
病院のタイプは、国公立系と、私立に分けられます。
- 国公立病院:医療費は安いが、質はやや劣る、混雑必須
- 私立病院:医療レベルは先進国と同等、医療費が高い
どちらも混雑しており、待ち時間は長いものと考えておきましょう。
私立病院の中には、海外で経験を積んでいるドクターも沢山います。
このような私立病院は、現地の人からすると高額なので、富裕層あるいは、日本人など外国人の利用がほとんどです。
便利な一方、ヘルプデスクに日本人が集中するので、待ち時間がかなり長くなりがちです..
過去に生徒さんの付添いで、5時間以上待ったことがあります。いざというときのために、症状を伝える英語はマスターしておきましょう。
» 参考:【病気になる前に!】セブ島5つの病院と1つのクリニックの特徴を知っておこう
フィリピンの医療システムは日本と違う!
フィリピンの病院では、医師が個人で開業し、病院内の一角を借りて営業する独立採算制をとっています。
病院内に診察用のクリニックを開業している医師たちは、院内の検査施設や入院部屋を共有して使用していることになります。
これをオープンシステムと呼んでいます。
ショッピングモールに入っているメガネ屋さんドラッグストアをイメージするといいでしょう。
日本の医師は、病院側と雇用契約するのが基本的ですが、この点がフィリピンでは大きく異なります。
フィリピンの医師は、フリーランスのような形で、いくつかの病院を掛け持ちしている医師も多いです。医師の出勤日を確認しておくといいでしょう。
各テナントごとに営業をしているようなスタイルですから、フィリピンでは、治療の前に支払いをするのが一般的です。
レントゲンを取る前に、レントゲン代の支払いを済ませ、ガーゼや注射器を先に薬局で購入してから診察室に向かい、診察の前に診察代を払って、診察を受ける。
日本人からすると奇妙な支払いシステムですが、各セクション(部署)が独立採算でやっているオープンシステムだからこそのルールです。
フィリピンで医療を受診する流れ
海外旅行保険・クレカジットカード付帯の保険を利用して病院にかかる場合は、以下のステップで診察を受けるとスムーズです。
事前に保険が適応される可能性について確認しておきましょう。高い診察を受けて、後で保険が降りなかったからでは遅いです。
英語ができない人は、ジャパニーズヘルプデスクに連絡をすると日本語対応してくれます。患者の人数に対して、スタッフの数が少ないので対応が遅くなる可能性もあります。
ジャパニーズヘルプデスクを頼る場合、スタッフの人の指示に従います。頼らない場合、時間外の場合は、電話をするなどして予約を取るのをオススメします(混雑をなるべく避けるため)。クリニックは予約できないことも多いです。
診察日に受診します。予約していた時間通りに進まないことを前提にしておいたほうが気が楽です。公立の病院、私立の病院問わず「待たされるもの」と考えておくといいです。
緊急の場合は救急外来へ直接いきましょう。
症状の重さにもよりますが、保険会社に確認をしている時間が取れないことも起こりえます。
フィリピンの医療費はどのくらい?
保険適応なしで全て自己負担した場合、
風邪で3千円、骨折治療のレントゲン検査だけで1万円、デング熱などの感染症で1週間入院すると10万円、コロナで最大200万円くらいかかったという話もあります。
医療費としてかかる内訳は以下の通りです。
- 医師への報酬(ドクターフィー)
- 治療費、手術費
- 検査費
- 消耗品費(ガーゼ、注射器、包帯など)
- 薬代
- 入院費(部屋代、食事代)
ドクターフィーは医師が自由に決めることができます。そのため、価格設定を高めにするか、低めにして多くの患者を顧客とするかは個々の判断に委ねられています。
これらの医療費は、海外旅行保険や現地の民間の保険、クレジットカード付帯の保険などによってカバーされます。
以下で、詳しく解説します。
フィリピンの医療保険
フィリピンの医療を受けるときに、医療保険で負担額をまかなう方法は4つあります。
- PhilHealthフィルヘルス(公的な医療保険)
- フィリピンの民間の医療保険
- 日本の国民健康保険
- 海外旅行保険・クレジットカード付帯保険
PhiHealthフィルヘルスと、民間の医療保険は、フィリピン現地の保険です。
この2つは、フィリピン国籍でなくても、移住の条件やビザ次第で加入が可能です。
日本の国民健康保険を使って、医療費のキャッシュバックを受ける方法もありますが、こちらも条件があります。
ひとつずつ見ていきましょう。
1. PhilHealthフィルヘルス(公的な医療保険)
日本でいう国民健康保険にあたるのがPhiHealth(フィルヘルス)です。
フィリピン国籍の人は全員、加入義務があります。
保障の対象は以下の通りです。(参照:JETRO抜粋)
- 入院(部屋代、食費、薬剤費、検査・診察含)
- 一部の外来治療
- 救急外来
- 予防サービス
- その他、認められたサービス
※疾病の程度によって、上限あり
※外来の薬代は対象外
概ね、治療費・入院費の3〜4割程度が給付されると言われています。
外国人にとっては、現地で就労しているか否か(現地通貨-ペソを稼いでいるか否か)で加入義務が変わります。
就労ビザなどで現地就職をし、就労をしている外国人は、PhiHealth(フィルヘルス)への加入義務があります。
保険料は給与水準に応じて変わり、給与から差し引かれる形で支払いをします。
支払い額は、雇用主と本人との間で折半するため、全額を払うわけではありません。
- 月収が1万ペソ以下の場合:275ペソ/月=約605円
- 月収が1万〜4万ペソ未の場合:月収の2.75%の額
- 月収が4万ペソ以上の場合:1,100ペソ/月=約2400円
しかし、この金額はフィリピン国籍の人に対して定められている金額です。
外国人は、以下の通りです。(PhilHealth HPより抜粋)
- ACR-I(外国人登録証)所有者:17,000ペソ/年=約37,000円
→一般的な現地就職の場合はこちらです - SRRV(リタイアメントビザ)所有者:15,000ペソ/年=約33,000円
→永住ビザを持っている方はこちらです
就労していない外国人の場合でも、任意で加入することができます。
具体的には、以下に該当する人が任意加入可能となります。
- SRRV(リタイアメントビザ)を持っている人
- ACR-Iカード(外国人登録証)を持っている人
- 結婚相手がフィリピン国籍の場合
» ACR-I(外国人登録証)って何?SRRV(リタイアメントビザ)って何?という方は、コチラの記事をチェック。
【完全網羅】フィリピンで移住するのに必要なビザ9種類を解説|滞在のタイプ別に紹介2. フィリピンの民間の医療保険
民間の医療保険もたくさんあります。
主にフィリピンの富裕層向けのための保険となっているのが現状ですが、外国人でも契約可能です。
日本の海外旅行保険よりもリーズナブルなのが魅力です。
前述のフィルヘルスよりも充実していますが、日本の会社が販売している保険よりも補償額は少ないです。
プラン内容次第ですが、100〜300万円程度までカバーされます。
私の場合、半年に一度は帰国するので、契約はしていません。「しばらく帰国しない、万全の備えをしたい」という方は検討するといいでしょう。
以下の通り、多くの保険会社があります。
- PACIFIC CROSS
- AIA
- Sun Life
- Cigna Global
- AXA
- Medi Card
- Maxi Care
- Insular Care
個々の違いは割愛しますが、一番有名とされているのはPACIFIC CROSSです。
年齢が高くなるにつれ、保険料は高くなります。
目安額は、20代で年間5万円くらい、60代になると、年間13万円くらいです。
3. 日本の国民健康保険(海外療養費制度)
フィリピンに移住後も、住民登録を日本に残している場合は、国民健康保険に継続して加入することができます。
フィリピンでかかった医療費の一部を保険の中からカバーされます。
これは、海外療養費と呼ばれる制度で、医療費は現地で一時的に支払い、その後日本で申請をして還付(返金)を受けられる仕組みです。
しかし、日本国内で保険診療として認められている医療行為に限られます。
詳しい解説や申請に必要な書類の一覧は、公式サイト(全国健康保険協会)をご確認ください。
4. 海外旅行保険・クレジットカード付帯保険
一番保障の範囲が手厚いのが日本の保険会社が販売している海外旅行保険です。
安心の保障額ですが、その分保険料も高く年間で20万円くらいします。
海外旅行保険を取り扱う有名会社⇣
- 損保ジャパン
- AIG損保
- 東京海上日動
私がオーストラリアに長期滞在したとき、契約したことがありますが、正直いらなかったかな…と思い、途中で解約しました。(余った期間の分は返金されます)
一方で、クレジットカードに付帯している保険を利用する方法もあります。
クレジットカード付帯の保険を利用すると、複数枚を上手く組み合わせると、半年近く保険の恩恵を受ける方法もあります。
数ヶ月に一度、帰国する予定があるようなデュアルライフ型(2拠点生活)の方は、このクレカ付帯保険を上手く利用したり、あえて海外転出届は出さずに、国民健康保険による海外療養費制度を利用するのもありです。
こちらについては、また別記事で詳細を解説します。(作成中…)
まとめ:医療と保険のお世話にならない備えを!
今回の投稿では、フィリピンの医療事情と医療保険について解説しました。
保険を契約するにしても、しないにしても「怪我をしない、病気をしない」に越したことはありません!
フィリピンで移住する場合には、以下の3つに気をつけてください。
もらい事故による交通事故を避けるのは難しいですが、歩行者としても、運転手としても常に注意しましょう。フィリピンは交通量も多いです。
歩きスマホは禁物です!
バイクは事故ると被害が大きいです。便利ですが、交通ルールに十分慣れるまではオススメしません。
2020年〜2021年を中心に新型コロナウイルスの感染症が世界でも大流行しました。
フィリピンでは、特に気をつけたいのは以下の感染症です。(外務省より抜粋)
- デング熱、ジカ熱(蚊に注意)
- A型肝炎(汚染された水、食器に注意)
- 狂犬病(野犬に注意)
- HIV/エイズ(節度ある行動を)
- コロナウイルス(マスクと予防接種を)
生水、水道水は飲水NGです。下痢をします。
ミネラルウォーターを飲むようにしましょう。現地のフィリピン人でさえそうしています。最悪飲む場合は、必ず煮沸しましょう。
ローカルの小さい路面店のレストランなどでは、氷に水道水が使わている可能性もあります。氷抜きにするのも方法のひとつです。
フィリピンではありませんが、同じく東南アジアのタイに行ったとき、BBQで飲んだ水によって一緒に行った10人中8人が1週間、食中毒による下痢に苦しみました…ご注意を。
今回の投稿では、フィリピンの医療事情と医療保険について解説しました。
医療事情は、命に関わる大事なことです。よく理解をした上で移住生活をスタートさせましょう!
現地の情報収集や、英語の勉強をしながらローカルのフィリピン人と移住前から繋がることができるVia.Assistanceでは、フィリピン移住にチャレンジしたいというあなたを、応援・サポートしています。
移住の安心と楽しさがここからスタートします⇣
- 救急車って呼べるの?
- 渋滞もあるので、自分で行ったほうが早いこともあります。
救急車を呼ぶのに、8,000円くらいかかります。
- 市販薬はドラッグストアで購入できる?
- ISO(国際標準機構)の基準を満たしている薬が、医師の処方箋なく、1錠単位で購入できます。薬事法の制限が緩いので、病院にかからなくても、強めの薬が手に入りますが、事前によく調べましょう。
- 総合風邪薬を知っておきたい
- Bioflu(バイオフル)、Neozep(ネオゼップ)が代表的な総合風邪薬です。
- 下痢に効く薬を知っておきたい
- Imodium(イモデゥウム)、Diatabs(ダイアタブス)が有名です。
- 生理痛・月経困難症に効く薬を知っておきたい
- Buscopan(ブスコパン)が有名です。
- 薬が売っているドラッグストアはどこ?
- フィリピンの有名なドラッグストアは、Mercury Drug(マーキュリードラッグストア)、Watsons(ワトソンズ)です。ここに行けば大抵の市販薬は手に入ります。
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