- 海外移住をするとき、日本の持ち家はどうしたらいいのだろう..
- 他人に貸し出すべきなのか、売却すべきなのか分からない..
海外移住で心配になることは様々ありますが、その中でも「日本国内にある持ち家をどうするか?」という不安は誰もが抱える大きな悩みです。
記事を投稿している私(田井)は、不動産鑑定士として今までに、1,000件以上の不動産鑑定評価に携わってまいりました。また、ロングステイ財団公認のロングステイアドバイザーとしても活動しています。
そこで今回は、これから海外移住を検討したい方に向けて以下の内容を解説します。
- 海外移住するときの、持ち家問題を解決する方法
- 売却と賃貸のメリット&デメリット、選ぶ判断基準
- 留守宅サービスという選択肢について
最後までお読みいただくことで、皆さんに合った持ち家の利用方法や管理方法を知ることができます。
海外移住者の持ち家、留守宅の解決方法は2つ
海外移住者の持ち家問題を解決するには2つの方法があります。
一つは、他の人に「賃貸に出す方法」もう一つは他の人に「売却する方法」です。
二世帯住宅で子世帯とともに住んでいる場合や、無償で他人に預けることもありますが、多くはこの2つの選択肢で悩むかと思います。
「賃貸に出す」「売却する」それぞれのパターンについて、そのメリットやデメリット、注意点などを解説していきます。
賃貸に出すパターン
賃貸に出すパターンとしては、不動産業者を通して有料で貸すパターン、またはご自身の知人や友人などに有料または無料で貸すパターンがあります。
無料で貸すことは稀ですので、今回は有料の場合で説明していきます。
賃貸に出す「メリット」
賃貸に出す最大のメリットは、賃貸収入を得られることです。
貸し出す賃料が安くても、海外移住の場合、日本円で定期収入が得られることは大きな意味を持ちます。
例えば、東京都内で一戸建て・月5万円の場合を想定してみましょう(諸経費は除く)。
移住先がフィリピン、マレーシアなどの日本に比べて物価が安い国ならば、この5万円は2倍から3倍の価値を持つので、現地では10万円から15万円を手にしていることと同じになります。
海外移住した場合には、なにかと出費がかさむことも多く、日本では想定しない病気やケガもあります。
自分が働いて得るお金以外に収入のあてがあることは、経済的のみならず精神的な支えになるに違いありません。
空き家の状態が続くと、水分周りの老朽が進んだり、掃除の機会なくなりカビや害虫が増えますが、賃貸に出す場合、入居者が使ってくれることで家の傷みも少なくなります。
もし海外移住をやめて日本に戻ってくる場合、売却の場合と違い、住み慣れた自分の家に戻ってくことが出来きます。そのため、日本での再スタートが切りやすいというメリットも考えられます。
賃貸に出す「デメリット」
賃貸に出すデメリットは、維持管理のコストと手間です。
日常的な管理は賃貸人が行うものの、台風で屋根が壊れたり、給湯器の調子が悪い場合には所有者が費用を出して直す必要があります。
海外移住をしている場合、すぐに日本に帰国することはできません。管理会社に対応をお願いせざるを得ないため、その分コストがかかります。
また海外移住中に管理会社とのやり取りの必要性がでたとき、メールや国際電話などをしなくてはならない手間も考えられます。
そして入居時に賃借人(借りる側)の審査をしっかりしないと、「オーナーが海外在住で日本にいない」ことをいいことに、借りている物件でありながら、勝手に部屋をリフォームされたり、転貸されるリスクもあります。
このような入居者リスクを避けるためにも賃借人の審査は慎重にしなければなりません。
そして日本の法律上、賃借人(借りる側)が非常に強い立場なので、海外から日本に戻ってきた時にすぐ賃借人に退居してもらえるように、「定期借家契約」を活用するなど契約内容も十分に吟味する必要があります。
売却するパターン
売却の場合、知人や隣人に売るパターンも考えられますが、一般に不動産業者にお願いすることが多いです。
そして、売却には以下の二通りの方法があります。
- 不動産業者が直接買い取ってくれる「買取」
- 不動産業者にお願いして、別の第三者に買ってもらう「仲介」
「買取」と「仲介」の違いと合わせて売却のメリットとデメリットを解説していきます。
売却する「メリット」
売却するメリットは、まとまったお金が一度に入ることです。
現金化された資金を使わず、移住先の定期預金口座に貯金することで、確実なリターンが得られます。
また、売却して得た資金を元手に移住先の不動産を購入することもできます。国にもよりますが、日本よりも広く立派な家に住める可能性が高いです。今後もまだまだ成長性が高い東南アジアの物件であれば物件の価値が将来的に上がる可能性も見込めます。
売却するにあたっては、第三者に売る仲介よりも、業者に買取してもらった方がスピーディーに処理してもらえる可能性が高いです。
ただし買取は業者が自分たちで再販売します。いわば“仕入れ値”で購入するため、値段が安くなりがちです。
そして買取り対象となる物件が厳選されるため、どんな物件でも買い取ってくれるというわけではないことに注意が必要です。
売却する「デメリット」
売却するデメリットは、売る金額の妥当性や、物件の将来性の判断が難しいことです。
東京都心の好立地物件のように、不動産の価格が今後も上がると期待されるような場合には、海外移住を機に慌てて売却するのは避けるべきです。
日本に帰国し、以前と同じ大きさや同じ立地の物件が高騰していて、金銭的に購入しにくくなっている可能性があります。
そして、一括で大きなお金が入ることで無駄使いや金銭トラブルになる可能性もあるでしょう。
とにかく、安値で売ってしまうことが、最大のリスクとなります。そのリスクを回避するためには、慎重に売却時期を定める必要がります。
また時間はかかるかもしれませんが、買取でなく仲介にしたほうが高く売れる可能性は高いといえます。
賃貸にだすべきか、売却すべきかを考える基準
ここまで賃貸と売却のそれぞれのメリットやデメリット説明しました。
「違いやメリットは分かったけど、自分の場合はどちらを選べばいいのだろう..」と思われる方も多いと思います。
そこで判断するための考え方をタイプ別に例示してご説明します。
ご自身のピッタリの判断軸を見つけてくださいね。
賃貸に出すべき人
観光ビザで短期〜中期滞在を楽しむ方や、将来の移住に向けてお試し滞在の方
「家賃」は代表的な不労所得となります。ただし家賃の減額に伴う収入減というリスクもある点に注意しましょう。
再び住む可能性がある場合は、賃貸に出すのがいいでしょう。同じ物件を買うことは現実的でないので、この場合は定期借家などを活用しましょう。「定期借家契約」を結ぶことで、賃貸人が同じ物件に住める期間が決められているので、物件を手放すことなく住み直すことができます。
- 持ち家に対する対応をどうすべきか検討する時間がない人
- 近隣に、鉄道や道路ができることが決定しており、間違えなく将来の値上がりが期待できる家を所有している人
売却すべき人
もう日本に戻らないのであれば、維持管理の手間を避けるためにも「売却」すべきです。
リタイア生活はもちろん移住して、起業することも考えている人は、不動産の売却で得たお金が大きな支えとなります。
不動産を残していても仕方ないですし宝の持ち腐れです。現金化して生きているうちに海外で有効に使うとうのは素晴らしい選択だと思います。
- 物件の土地が狭く、古く傷んでいるなど貸すのが難しい家の場合
- 所有者が複数人で共有しているなど、複雑でその関係性も疎遠な場合
このような場合には海外移住者が、不動産問題を片づける最大のチャンスとなります。思い切って売却することをおすすめします。
賃貸も売却も嫌な人は、空き家管理サービスを検討
賃貸・売却のメリット、デメリットや判断基準は理解できましたでしょうか?
しかし、「いろいろ考えた結果、やっぱりどちらも選択したくない」という人もいます。
将来的にどうすべきか考える必要性は感じていても、とりあえず家は「そのままにしたい」という人も多いでしょう。
家は長期間放置しておくと劣化が進んでしまい、いわゆる「空き家」問題が発生してしまいます。
それに対応するため、現在は様々な会社で留守宅管理サービスがあります。
留守宅管理サービスは、住んでいる人がいない家を定期的に巡回や清掃してくれるサービスです。これを利用することによって、家の劣化を防ぐのみならず、空き巣に入られないようにするという防犯効果もあり、資産価値が維持できるというメリットがあります。
もちろん、その対価として、月額5,000円程度、サービス内容よっては1万円以上のお金を支払う必要もありますが、「貸しだす」「売却する」以外の3番目の選択肢として検討する余地はあると思います。
有名所としては、以下のようなサービスです。参考にされてみて下さい。
まとめと注意点
今回は海外移住をする場合の持ち家対策に「貸し出す」「売却する」という2つの解決策を中心に検討しました。
そのメリットとデメリットを十分に検討して判断する必要があります。
ただし、その実行時には海外移住ならではの手続きと、税金問題も発生します。そして、それは日本国内のみならず移住先の税制や法律も考慮しなければいけない場合もあります。
専門家のアドバイスに基づいた最適な判断ができないと、場合によっては何百万や何千万円の損失が発生する可能性もあります。
海外デュアルライフメディアでは、不動産の賃貸や売却の判断にノウハウを持ち、みなさまの海外移住を快適にサポートする不動産コンサルタントとの提携も行っております。
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